ラス型枠(らすかたわく)とは、コンクリート打設後に解体せずそのまま躯体に埋め込む「捨て型枠」の一種で、特殊なリブラス(鋼製金網)を使用した工法です。
「型枠ラス」「ラス型枠」「型枠 ラス」はいずれも同じ工法を指す言葉です。
従来の合板型枠や鋼製型枠と異なり、打設後の型枠解体・撤去作業が不要なため、工期短縮・騒音低減・廃材削減の観点から土木・建築現場で広く採用されています。
本記事では、ラス型枠の特徴・種類・メリット・デメリット・施工上の留意点を現場目線でわかりやすく解説します。
ラス型枠(型枠ラス)とは?基本的な仕組み
ラス型枠は、せき板に「リブラス」と呼ばれる鋼製エキスパンドメタル(菱形の網目状に加工した鋼板)を使用した捨て型枠工法です。
鋼製フレームと締付け金物・横端太材でリブラスを固定し、コンクリートを打設します。
打設後、リブラスはコンクリート内部にそのまま打ち込まれ(埋め殺し)、型枠解体の工程が不要になります。
主な使用箇所は以下の通りです。
- 地中梁・基礎梁の側面
- 土留め壁に接する箇所(狭い空間で型枠解体が困難な場所)
- 擁壁・橋脚・ボックスカルバートの内部型枠
- 打継ぎ部・増し打ち部
ラス型枠の種類・規格
ラス型枠に使用されるリブラスには、メーカー・用途によって複数の種類・規格があります。
代表的な分類を以下に示します。
| 種類 | 特徴・用途 |
|---|---|
| 標準型(汎用) | 一般的な地中梁・基礎工事に使用。最も普及している。 |
| 高強度型 | 深礎基礎・大型構造物など、高い側圧がかかる箇所に使用。板厚・リブ高さが大きい。 |
| 打継ぎ専用型 | コンクリートの打継ぎ面に使用。付着性向上のためリブ形状に工夫がある。 |
| ふかし型枠用 | 既存躯体への増し打ち(ふかし)施工に対応。 |
規格(板厚・メッシュサイズ・フレームピッチ)はメーカーによって異なるため、使用前に設計図書・施工仕様書を確認してください。
ラス型枠のメリット
① 型枠解体・撤去が不要で工期を大幅短縮
最大のメリットは、型枠を解体・撤去する工程が丸ごと省けることです。
特に地中梁や基礎工事では、コンクリート打設後に掘削空間が狭く型枠解体が困難な場面が多いため、捨て型枠のラス型枠が非常に有効です。
型枠解体・撤去コストと工期が削減されるため、全体工程の短縮につながります。
② 騒音・振動が少ない
木製型枠の組立・解体時に発生するハンマー打ちや電動工具の騒音・振動が大幅に抑えられます。
市街地や住宅密集地での工事において、近隣への騒音影響を軽減できる点は大きな利点です。
③ 打設状況を目視確認できる
リブラスは金網状のため、コンクリート打設時に型枠の外側から充填状況を目視で確認できます。
従来の合板型枠では打設状況が見えず気泡・充填不良が発見しにくかったのに対し、ラス型枠では視認性が高く品質管理に有効です。
④ 複雑な形状にも対応しやすい
リブラスは切断・折り曲げ・曲面加工がしやすいため、円弧・曲線・テーパー形状など複雑な型枠形状への対応が比較的容易です。
木製型枠では高い技術力が必要だった箇所でも、施工精度を保ちやすくなります。
⑤ 廃材が少なくエコ
型枠解体後の廃木材・廃鋼材が発生しないため、産業廃棄物の削減につながります。
環境負荷低減・廃棄物処理コスト削減の観点からも注目されています。
ラス型枠のデメリット・注意点
① セメントペーストが流出しやすい
リブラスは金網状のため、コンクリート打設時に余剰水やセメントペースト(ノロ)が網目から流出しやすいというデメリットがあります。
対策として、かぶり厚さを合板型枠より10〜20mm大きく設定したり、スランプの低いコンクリートを使用したりすることが必要です。
② 初期養生が難しい
型枠による保温・保湿の効果が合板型枠と比べて低いため、寒中コンクリートや暑中コンクリートなど、型枠による初期養生が重要な条件下では不向きです。
冬季施工ではシート養生・保温養生など別途の養生対策が必要になります。
③ リブラスの発錆(はっさび)に注意
鋼製のリブラスが打設前に発錆すると、コンクリートとの付着が悪化したり、躯体表面に錆汁が滲み出したりする可能性があります。
発錆が著しい箇所への使用は避け、資材の保管は雨・湿気を避けた場所で行います。
④ コスト比較は条件次第
材料費は合板型枠より高い場合もありますが、型枠解体・撤去・廃材処分のコストが不要なため、トータルコストでは同等以下になるケースが多いです。
ただし、現場条件(工期・労務費・廃棄物処分費)によって異なるため、事前の積算比較が重要です。
施工上の留意点
かぶり厚さの確保
ラス型枠使用時のかぶり厚さは、設計かぶり厚さにセメントペースト流出分(10〜20mm程度)を加えて設定します。
設計図書に指定がある場合はそちらを優先し、スペーサーで鉄筋位置を正確に保持します。
締付け・固定の確認
コンクリート打設時の側圧によってラス型枠が変形・浮き上がらないよう、フレームと締付け金物を確実に固定します。
特に高い打設速度・深い打設高さになる場合は、側圧計算に基づいた補強を行います。
コンクリートの品質管理
スランプが高すぎるとノロ流出が増加するため、ラス型枠使用箇所ではスランプを抑えたコンクリートを使用することが推奨されます。
打設速度も適切に管理し、過大な側圧がかからないよう注意します。
打設状況の確認
ラス型枠の透視性を活かし、打設中は目視で充填状況を確認します。
充填不良(ジャンカ)が見られた場合は、バイブレーターで再度締め固めるなど対処します。
ラス型枠に関するよくある質問
ラス型枠は捨て型枠と同じですか?
ラス型枠は捨て型枠の一種です。
捨て型枠とはコンクリート打設後に解体しない型枠全般を指し、ラス型枠(リブラス使用)のほか、デッキプレート・EPS(発泡スチロール)・捨てコンクリートなども含まれます。
型枠ラスとラス型枠は同じですか?
はい、同じ工法を指します。
「型枠ラス」「ラス型枠」「型枠 ラス」はいずれもリブラスを使用した捨て型枠工法の呼称です。
施工管理技士試験でのポイントは?
施工管理技士試験では、ラス型枠の特徴として「型枠の解体が不要」「余剰水・ノロが流出しやすい」「かぶり厚さを大きくとる必要がある」の3点が頻出です。
また、「目視で打設状況を確認できる」「複雑形状に対応しやすい」もメリットとして押さえておきましょう。
まとめ
ラス型枠(型枠ラス)は、リブラス(鋼製金網)を使った捨て型枠工法で、解体・撤去不要・騒音低減・打設視認性の高さが主なメリットです。
一方で、ノロ流出によるかぶり厚さの確保・初期養生の制限・発錆対策といった注意点もあります。
地中梁・基礎工事・打継ぎ部など型枠解体が困難な箇所を中心に採用を検討し、現場条件に応じた品質管理を徹底することが重要です。


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