図心とは、断面の重心位置のことで、構造計算において非常に重要な概念です。
梁や柱の断面設計、断面二次モーメントの計算など、さまざまな場面で図心の位置が基準になります。
施工管理技士試験でも出題される「図心の求め方」を、公式と計算例でわかりやすく解説します。
図心とは
図心(ずしん)とは、断面の形状的な重心のことです。
均質な板状の物体であれば、重力の作用点(重心)と一致します。
構造力学では、断面の中立軸が図心を通るため、曲げ計算の基準点として極めて重要です。
図心の重要な性質:
- 図心を通る軸に関する断面一次モーメントは0になる
- 図心軸まわりの断面二次モーメントは最小値をとる
- 曲げ応力度計算の基準点(中立軸)として使用される
図心の求め方(公式)
図心座標は断面一次モーメントを断面積で割ることで求められます。
基準軸(x軸)からの図心距離:
ȳ = Σ(Aᵢ × yᵢ) / ΣAᵢ
基準軸(y軸)からの図心距離:
x̄ = Σ(Aᵢ × xᵢ) / ΣAᵢ
ここで、Aᵢは各部分の断面積、yᵢ・xᵢは基準軸から各部分の図心までの距離です。
基本的な断面の図心位置
よく使う基本断面の図心位置は以下のとおりです。
| 断面形状 | 図心位置 |
|---|---|
| 長方形(幅b、高さh) | 底面からh/2、左端からb/2(中央) |
| 三角形(底辺b、高さh) | 底面からh/3 |
| 円(半径r) | 中心 |
| 半円(半径r) | 直径から4r/3π(約0.424r) |
複合断面の図心の求め方(手順)
T形・L形・I形断面など複合断面の図心を求める手順は以下のとおりです。
- 断面を単純な形に分割する(長方形など)
- 基準軸を設定する(底面や左端を基準にすることが多い)
- 各部分の面積Aᵢを求める
- 基準軸から各部分の図心までの距離yᵢを求める
- Aᵢ × yᵢを計算して合計する(断面一次モーメントの合計)
- 合計をΣAᵢで割る(ȳ = ΣAᵢyᵢ / ΣAᵢ)
計算例①:T字断面の図心を求める
フランジ:幅180mm・高さ60mm、ウェブ:幅60mm・高さ120mmのT字断面(底面を基準x軸)
| 部分 | 面積A (mm²) | 図心距離y (mm) | A×y (mm³) |
|---|---|---|---|
| フランジ(上) | 180×60 = 10,800 | 120 + 30 = 150 | 1,620,000 |
| ウェブ(下) | 60×120 = 7,200 | 60 | 432,000 |
| 合計 | 18,000 | ― | 2,052,000 |
図心位置 ȳ = 2,052,000 ÷ 18,000 = 114mm(底面から)
計算例②:中空断面の図心を求める
外形200×200mm、内空100×100mmの正方形中空断面(底面を基準)
対称断面のため、図心は左右中央・上下中央、つまり底面から100mmの位置になります。
計算で確認:外形の断面一次モーメント – 内空の断面一次モーメント
= (200×200×100) – (100×100×100) = 4,000,000 – 1,000,000 = 3,000,000 mm³
全断面積 = 200² – 100² = 40,000 – 10,000 = 30,000 mm²
ȳ = 3,000,000 ÷ 30,000 = 100mm ✓
図心に関するよくある間違い
- 基準軸を統一しない:各部分の距離yᵢはすべて同じ基準軸から測ること
- 図心距離を断面の端から測る:各部分の図心(中央)からの距離を使うこと
- 面積の単位ミス:mmとcmが混在しないよう単位を統一すること
- 断面二次モーメントと混同:図心の計算には断面一次モーメント(1乗)を使う
施工管理技士試験のポイント
- 図心の定義と断面一次モーメントとの関係
- ȳ = Σ(Aᵢ×yᵢ) / ΣAᵢ の公式を確実に使いこなす
- 対称断面の図心は対称軸上にある
- 図心軸での断面一次モーメント=0
- T字断面・L字断面の図心計算は典型問題として頻出
まとめ
図心は断面の重心位置であり、ȳ = Σ(Aᵢ×yᵢ) / ΣAᵢ の公式で求めます。
複合断面は単純な形に分割して計算し、各部分のA×yを合計してから全断面積で割ることで図心が求まります。
図心軸での断面一次モーメントは0であること、対称断面の図心は対称軸上にあることは試験でも必須知識です。
計算ミスを防ぐため、基準軸の統一と単位の統一を徹底しましょう。


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