鉄筋コンクリート構造(RC構造)とは
鉄筋コンクリート構造とは、コンクリートを粘りのある鉄筋と一体化することで耐震性を確保した構造のことをいいます。
コンクリートと鉄筋は、線膨張率がほぼ等しく、温度変化に対して一体性を確保できるため、鉄筋コンクリートとして成立しています。
鉄筋コンクリートは、外気に接するコンクリートがアルカリ性のため、内部の鉄筋のさびを防いでいます。
鉄筋コンクリート構造の押さえておきたいポイント
鉄筋コンクリートを覚えるうえで知っておきたいポイントです。
- 鉄筋の許容付着応力度は、コンクリートの設計基準強度によって異なる。
- 鉄筋コンクリートは、柱、梁の主筋には、引張応力及び圧縮応力が生じる。
- コンクリートの短期の許容圧縮応力度は、長期に対する値の2倍とする。
- コンクリートの長期の許容圧縮応力度は、設計基準強度の1/3とする。
- コンクリートの引張強度は、鉄筋の引張強度に比べて極端に低いため、梁の断面を求める上で無視することができる。
- 鉄筋コンクリート造の建築物では、通常、風圧による応力よりも、地震による応力のほうが大きくなる。
以上のような点を抑えておきましょう。
鉄筋コンクリートにおける柱について
柱には、重量による軸方向の圧縮力と地震時のせん断力及び曲げモーメントが作用します。
柱は重要な要素の一つで、試験では数値に関する問題も出題されます。ここでは、柱について押さえておきたいポイントを説明します。
柱の押さえておきたいポイント
柱には以下のような特性や注意点があります。
- 帯筋は、主筋の座屈を防止すること、また、柱のせん断耐力を高めることができる。
- 帯筋は、一般に柱の中央部より上下端部のほうの間隔を密にする。
- 帯筋に鉄筋が切れ目なく連続しているスパイラル筋を使用すると、柱の強度と粘り強さが増す。
スパイラル筋を使う場合、重ね継手の長さは50d以上、かつ300mm以上とする。 - 柱の帯筋比は、0.2%以上とする。柱の帯筋比が大きいほどせん断耐力は大きくなる。
- 変形能力を高めるため、せん断強度が曲げ降伏強度を上回るようにする。
- 帯筋に異形鉄筋D10を使用する場合、その間隔は、原則、100mm以下とする。
- 柱の小往は、構造耐力上主要な支点間距離の1/15以上とする。
- 柱の主筋の断面積の総和は、コンクリート全断面積の0.8%以上とする。ただし、引張鉄筋比が大きくなると付着割裂破壊が発生しやすくなる。
- 柱の脆性破壊防止のため、断面積に対する軸力の割合(軸方向圧縮応力度)を小さくする。
- 柱梁接合部内の帯筋間隔は、150mm以下とし、かつ隣接する柱の帯筋間隔の1.5倍以下とする。
- 同一階に同一断面の短柱と長柱が混在すると、地震が起きたとき短柱に応力が集中し、せん断破壊が起こりやすくなる。それを防ぐため、短柱の腰壁や垂壁にはスリットを設ける。
以上が柱について注意するポイントです。
梁(はり)について
梁は、床や屋根などの荷重を柱に伝える役割を果たす重要なパーツです。
梁のなかでも、大梁は、柱と柱をつないで床の荷重を支える役割をもち、建物の靭性(じんせい)を確保するため、曲げ降伏がせん断破壊よりも先行する破壊形式としなければなりません。
梁の圧縮鉄筋は、靭性の確保、クリープによるたわみ防止等に効果があり、構造耐力上、主要な梁は、上端と下端に配筋する腹筋梁とします。
ラーメン構造の梁:ラーメン構造の梁に長期荷重が作用する場合は、梁の中央部の上側に圧縮力、下側に引張力が生じます。
あばら筋は梁:あばら筋は梁のせん断力に対する補強筋として使用し、せん断力の大きさに応じた間隔で用います。
梁せいが大きい場合、あばら筋の振れ止め、または、はらみ止めとして、腹筋と幅止め筋を設けます。
あばら筋のポイント
あばら筋について覚えておきたい特性や注意点です。
- あばら筋に異形鉄筋D10を使用する場合、その間隔は、梁せいの1/2以下かつ250mm以下とする。
- あばら筋の径は、異形鉄筋D10以上とし、あばら筋比は0.2%以上とする。あばら筋比が大きいほどせん断耐力は大きくなる。
- 梁貫通孔(はりかんつうこう)の直径は、梁せいの1/3以下とし、同じ梁に複数の貫通孔を設ける場合の孔の中心間隔は、孔径の3倍以上とする。
耐震壁と床スラブ
耐震壁(たいしんへき)と床スラブについての解説です。
耐震壁:建築物において、地震や風などの水平荷重(横からの力)に抵抗する壁のこと
通常上下階において同じ位置に設置します。
- 耐震壁の水平耐力は、曲げ、せん断、浮上りなど
- 耐震壁の剛性評価は、曲げ変形、せん断変形、回転変形を
考慮する必要があります。
耐震壁に小さな開口がある場合でも、耐震壁として扱うことはできます。
ただし、開口部には適切な補強筋を配置する必要があるので注意が必要です。
耐震壁の壁厚は、120mm以上かつ壁の内法高さの1/30以上とし、耐震壁のせん断補強筋比は、直交する各方向に対して、それぞれ0.25%以上とします。
床スラブ:床の荷重を支える役割をします。
床の鉛直荷重を梁に伝えるとともに、地震の際には架構が一体となり水平力に抵抗します。
床スラブ厚が薄くなると、スラブの剛性が不足し、たわみや振動障害を生じやすくなります。
四辺固定の長方形床スラブの中央部の引張鉄筋は、下側が引張りを受けるため、スラブの下側に配筋します。
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